
我々日本ゴルフサミット会議16団体が取り組んでいるゴルフ場利用税撤廃運動は、「世界に例を見ないスポーツ課税」と「消費税との理不尽な二重課税」に対する反対運動なのです。
現在のこの税金は、平成元年(1989年)に施行された「消費税」の導入までは「娯楽施設利用税」という名称の地方税(都道府県税)でした。その他にも、ゴルフ関連の税としてクラブ、キャディーバッグ、ボールなど用具には物品税(当初40%、後に30%に軽減)が課税されていました。つまりダイヤモンドや高級自動車などと同じ扱いで、課税理由としては“贅沢品”とみなされていたわけです。そしてゴルフ場や練習場でプレーする場合も、“スポーツ”という認識は無く、麻雀、パチンコと同一視され、ゴルファーには「娯楽施設利用税」が課税されていました。
消費税導入の際、先の物品税と、地方税である娯楽施設利用税は廃止されましたが、ゴルフ場でのプレーだけは『ゴルフ場利用税』と名称を変えて存続し、かつ新税である消費税と併課 ―― つまり“二重課税”がゴルフ場利用者即ちゴルファーに課せられるという誠に理不尽な税制にされてしまったのです。
我々ゴルフ界の関連諸団体は「日本ゴルフサミット会議」と称し、全国規模の16団体によって構成されています。(各団体名は別途参照) 日本ゴルフサミット会議では、娯楽施設利用税当時からゴルフを贅沢なものと見なし、スポーツと認めない、かつ理不尽(二重課税)な本税の撤廃を叫び、各方面に繰り返し陳情を行うなど運動を続けてきました。消費税導入の際に現在の「ゴルフ場利用税」を新設した時の当局の見解は次の三点でした。
[1]ゴルフ場利用者は十分な担税力がある。
[2]ゴルフ場を開設する際の開発許可、関連道路整備など、行政サービスと密接な関係がある。
[3]本税収の内、3割が都道府県の収入となり残り7割は当該ゴルフ場が存在する市町村に交付されており、今や市町村にとっては貴重な財源となっている。
まず[1]ですが、我々の関連団体が行ったゴルファーアンケート(2001年実施)では、63%の人が「平均年収700万円未満」と回答され、また「格安になっているゴルフ場利用料金に比べ、この税金は負担である」と82%の人が答えています。更に「ゴルフ場利用税が撤廃されれば、ゴルファーの底辺拡大、ゴルフの普及につながる」と考えている人が75%にものぼっています。これほど大衆化した現代のゴルフは、まさに国民スポーツとして誰もが認めるところです。国民体育大会(国体)の正式種目に加えられたのも、その証しだと思います。とても当局見解である「ゴルフ場利用者には担税力がある」とは認められません。
次に[2]ですが、ゴルフ場を開設する時の開発許可(都道府県知事の許認可権)など行政サービスをしたのだから、とのことですが、これについても、そこに新たな雇用の創出や諸物品販売など、事業が発生して地元経済の活性化に少なからず貢献しています。そもそも、ゴルフ場のような広大な面積を利用する事業など殆ど存在しないのが実情で、ままあっても大型の霊園ぐらいのものでしょう。それに、ゴルフ場だけを対象にした行政サービスは見当たらないのが実情です。また、ゴルフ場事業者には別途「法人税」「事業税」「固定資産税」(これは市町村税)が課税されており、税によるガンジガラメの状態なのです。
[3]の「市町村にとって貴重な財源」という話ですが、これは既得権的な議論であり、二重課税の問題、本来消費税導入の際に廃止されてしかるべき本税は、税制のあり方として筋の通らない話ではないでしょうか。
ゴルファーの皆さん、どう思われますか?
ところで、我々日本ゴルフサミット会議では、消費税導入以前の娯楽施設利用税当時からゴルフ場利用者への課税撤廃を繰り返し訴えてまいりましたが、平成11年(1999年)にゴルフが国体の正式種目に加えられることになったのを契機に、本税の撤廃運動が一段と加速しました。
まず(財)日本ゴルフ協会(JGA)の提唱により、1年前の平成10年から関連団体が一致協力して全国のゴルフ場、練習場、トーナメント会場などで署名運動を実施しました。その結果、この初年度は5月〜7月の3ヶ月間で「1,807,209人」の署名が集まりました。その後も毎年署名運動を続け、平成12年までの3年間累計で「5,528,468人」の方々のご協力が得られました。
この貴重なゴルファーの皆さんのパワーを原動力に、関係省庁、国会議員に対し波状的な陳情活動を展開したのは言うまでもありません。その結果、文部科学省では「現行の地方財政状況に配慮し、平成13年度に於いてゴルフ場利用税の3割軽減を要望する」との省議決定がされました。また経済産業省(ゴルフ産業団体を所管)も本税反対の立場を打ち出しました。署名活動は、その後平成14年(2002年)まで実施しましたが署名人数は延べ5年間で実に「8,383,713人」に達しました。 |
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ゴルフ場利用税廃止署名運動に並行して、我々日本ゴルフサミット会議では毎年末の自民党税制調査会及び文教部会等に陳情を行いました。全国8,383,713人のゴルファーの後押しと、自民党ゴルフ振興議員連盟の強力な支援により、平成14年12月の自民党税制調査会において、皆様既にご案内の通り「身障者」「18歳未満」「70歳以上」の方々を非課税にすることが決定され、平成15年4月1日からこれら該当者に施行されました。まずは“一歩前進”といったところでしょうか。
この結果、非課税処置の初年度(平成15年度)は全国ゴルフ場総入場者数が8,842万人で、非課税者は「411万人」(約4.65%)でした。平成16年度は総入場者数が8,531万人となりましたが、非課税者は114万人増の「525万人」(総入場者数の約6.15%)を占めています。現在平成17年度を集計中で、今年度末には発表できると思います。
さて、今後の「ゴルフ場利用税撤廃運動」ですが、もちろん手をゆるめるつもりは毛頭ありません。前述の通り、5年間続けた署名運動は大きなパワーを発揮いたしましたが、今自民党税制調査会では来年の参議院議員選挙後に「消費税等の見直し」議論を本格化させるという段階にあることは皆さんご承知の通りです。
我々日本ゴルフサミット会議としては、「消費税等税制見直し時期」こそが最も重要なタイミングであると考えており、従って、その時に向けて全てのエネルギーを結集する必要があると考えています。積年の悲願達成に向けて、不退転の決意で臨まなくてはなりません。
多くのゴルファーから更なるバックアップをいただき、ゴルフ界挙げての“撤廃実現”をめざして引き続き頑張ってまいります。是非ご支援をお願いいたします。
前述の「自民党ゴルフ振興議員連盟」のことですが、現会長は自民党衆議院議員(大分2区)で党行政改革推進本部長を経て、平成18年(2006年)10月の人事において衆議院国家基本政策委員長の要職に就任された衛藤征士郎さんです。同議員連盟と我々業界は従来から毎年数回の会合を重ね、連携を密にしてまいりました。
平成16年(2004年)の2月に開かれた同議員連盟総会において「高齢化社会を迎える日本の現状をみると、ゴルフのようなスポーツは高齢者に最も適したスポーツである。もちろん高齢者のみならず、女性、中年層、ジュニア層などがもっとゴルフに親しみ、エチケット・ルールに厳しいゴルフは、身体の健康のみならずジュニア層の教育面においても非常に有益である。今後更に振興を促進すべきである」との認識のもと「ゴルフ場利用税完全撤廃」を総会決議いたしました。 |
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4項で紹介したデータに見られるように、この税金が撤廃されればゴルフプレー人口は間違いなく増えると考えられます。
「国民スポーツ」として、高齢者を含む多くの人々の「健康増進に貢献するゴルフ」が、一層身近なものとして普及するための一助となるよう、「ゴルフ場利用税の撤廃」をゴルフ界挙げて推進してまいります。
[平成18年(2006年) 9月20日]
